Xenus Revew on Crosscountry Vol 192

(クロスカントリー誌VOL192 July 2018より翻訳)
このフリースタイルEN-B機はGを感じるフライトを楽しむパイロットに向けたものだが、、、、 Byマーカス・キング

あなたのメインの目標がクロスカントリー飛行だとしても、アクロを少し学んでおくことは意味がある。グライダーコントロールの高い技術が身に付くからだ。女子世界チャンピオンのセイコ・フクオカをはじめとする、アクロからXC大会に転じたパイロット達の実績がそれを物語っている。
では、どんな機体で練習すればよいだろうか? 多くの経験深いアクロパイロット達がEN-B機を薦めている。これは、いろいろなアクロを練習する前にまずやっておかなければならないフルストールを極めていくには最高の機体だ。しかし、さらにダイナミックなアクロを練習していこうとすると、おそらくもっと小さくて動きの良い機体が欲しくなるだろう。こうなるとフリースタイル機の出番だ。
そしてゼヌスはイカロ社の最新のフリースタイル機で、22.5㎡の翼に最高110㎏という高翼面荷重と、EN-Bのパッシブ セーフティーをあわせ持つ機体である。

機体設計

イカロ社によると、ゼヌスは同社の中上級EN-B機のグラビスと同じDNAを持っているという。同じ40セルで、前縁はシャークノーズで、後縁にはミニリブが入っている。

アクロ界のレジェンドでイカロのテストパイロットのサンディ・メッシュがこの機体の調整を仕上げた。彼は言う。「グラビスと同じDNAと言っても、フリースタイル機に求められる点を満たすために多くの変更を行っている。例えば、グラビスはできるだけ軽量につくられているが、ゼヌスは可能な限り強くて耐久性があるようになっている。」

「スカイテックス32ではなく、38を使い、前縁のリブにはマイラーも付加した。これでノーズからぶつけても大丈夫だ。ライン取り付け部の補強は、高い荷重をキャノピーへ伝えるために、より大きくしっかりとしている。」

「翼の調整にも極めて多くの変更がなされている。フリースタイル機はバックフライトできる幅が大きくなければならず、そのために翼型の取付角を変えていかなければならないのだった。

「コントロール性についても力を入れた。デザイナーのラルフ・グロセルと私とで多くのリバースエンジニアリングを行ったのだ。これは、調整変更を全て3Dモデルに反映していくもので、こうして、最終的に仕上がった翼はとてもクリーンで、目指す飛行特性が実現できていた。」

ライザーがXC機に近いものになっているのは驚きだ。私が飛んだフリースタイル機に中には、フルにアクロが行えるようにとブレークに工夫を凝らしたものあった。これに対してイカロは、細くてレース仕様のようなライザーを用い、Cコントロール用のループまで付けた。
「Cコントロールを使うと、特にウエイトレンジの上限で、フラットな旋回がうまくできる。」と、
サンディが言っている。「それと、これはグランドハンドリングでも役立つ。ブレークよりもリアライザーを使った方が、機体をずっとうまくコントロールできる。」

ブレークハンドルはよく出来ていて、大きくてしっかりパッドが入り、使い心地が良い。方向性のあるマグネットのクリップで止められ、ラインのネジレ防止のスイベルも付いている。Aライザー系は赤で見分けやすく、内側のものには、「Take Off」と書かれていて、どれを引けばよいのかすぐにわかる。

Launch Behavior

試乗機を5月のエルイエロ国際PGフェスティバルに持って行った。ここのテイクオフの一つは、大きなウインドシャドーの中で道路から出るというとても難しいものだ。
そこでは、サポート係がついていたとしても、立ち上げ始めではしっかりした引き上げをすることが必要で、しかし立ち上がって風が当たってきた瞬間には完全にプレッシャーを抜いて、前方へシューティングしないようにしなければならない。これはどんな機体でも同じで、かなり苦労する。
私も最初の挑戦では不器用な落とし方をしたが、慣れてしまうと、どんなコントロールが必要なのかがわかりやすく、全般的に離陸が楽だった。パイロットの頭上での挙動は良いものだった。
上段の広いテイクオフでは条件もスムーズだったが、グランドハンドリングで翼と遊ぶのがとても楽だった。

In the air

飛んでみると、本来の面白さが顔を見せてくる。オープンタイプのハーネスで飛んでみると、この機体がいかにウエイトシフトに対して反応が良いかわかる。私は全備重量100㎏で飛んだが、この翼面荷重での反応の良さを分かってもらえるだろうか。

ブレークのプレッシャーは中くらいの良い感じで、一定のきき方をしてくれる。ブレークの幅は、私が恐れていたほどには短くなかったが、充分に精確なものだ。
ブレークを大きく使うとダイブしながら旋回に入るが、丁寧にやるととてもフラットに旋回することもできる。

サーマルでの上昇能力は、うれしい驚きだった。その精確なコントロール性によってリフトを捕まえやすく、エネルギーの保存性も良い。
早朝のとてもソフトなリフトで、より大きなXC機と少し絡んでみたが、小さくて強い上昇部分があるとアドバンテージを感じたものだ。
そんなこんなで、フェスティバルのランディング場に降りると、2名のパイロットがやってきて、その上昇がとても良かったと話してくれた。

Playtime

ウイングオーバーをすると、すぐにスピードと高さが出てくる。ウエイトシフトだけでかなり高く持っていくことも可能だ。しかしウエイトシフトとブレーク操作を組み合わせた適切なテクニックを使えば、すぐに翼を真下に持ってこれる。

あらゆる機体と同様、このスイングの頂点ではブレークが必要になる。良いタイミングで行えればクリーンなウイングオーバーでさらに増幅させて行けるが、タイミングが悪かったとしてもそれほどひどいことにはならない。

スパイラル中も翼のコントロールが楽で、エントリーも問題なかった。エグジットもコントロールが楽で、ウエイトシフトとブレーク操作を緩めてやり、ブレーク操作でスピードを抜いていけば良い。
エグジットを素早く行うと、それなりに大きなノーズの突込みがあるが、ピッチを止めるコントロールは楽だ。非対称スパイラルは楽しいうえに、混乱しやすい通常のスパイラルに比べても、機体のコントロールを学ぶ素晴らしい方法だと思った。

Conclusion(総括)

クロスカントリー機が性能向上を求めて、ラインや素材をより細く薄くしていく中で、これらの機体はますますフリースタイル飛行の荷重に耐えられなくなってきているように見える。しかしフリースタイルはパラグライダーの重要な分野でもある。

このクロスカントリー誌のコラムで最近、ギャビン・マクラーグが、全てのパイロットはフルストールを300回経験しておくべきだ、と指摘していた。それを繊細なXCレース機でやりたいと思うパイロットがいるだろうか?おそらくいないだろう。ここに頑丈なフリースタイル機の存在価値がある。

ゼヌスは、EN-Bのパッシブセーフティーとスポーティーなコントロール性を組み合わせた素晴らしい例となった。あらゆるパイロットにとってこの機体は、バックフライやダイナミックな動きを学んでいくうえで、最高の機体だ。

ザンディーは言う。「マヌーバーを経験するには、この機体しかない。ゼヌスはフリースタイル飛行の世界に入門していくために生まれた翼だ。」

私は大いに刺激され、今度は湖上でもっといろいろなマヌーバーを突き詰めたいと思った。私にも更に練習が必要なのだ。

こうして飛んだ後で、試乗機をアネシーのSIVインストラクターのマリン・ロブに渡した。

彼の感想は次ページに掲載されている。

OVER THE LAKE (湖上マヌーバー)

マリン・ロブとジム・ノーガロルが、全備重量90~95㎏でゼヌスをテスト。

第一印象は、本当にEN-B機のように感じるということだった。
Cハンドルが付いていて、バーを踏み込んでのフライトをアクティブにしてくれる。これは、デザイナーが単にフリースタイル機ではなくより幅広い使い方を目指していることを示している。

ブレークは長く、プレッシャーは軽い。ビギナーパイロットが精確とは言えない操作をしても十分過ぎる長さだ。
ウイングオーバーを始めると、この機体の隠れた特性が顔を出してくる。大きなウイングオーバーでもポジティブに操作を保ちやすく、少しの操作で良く動き回ってくれる。

通常のフライトではブレークは長くて穏やかな感じだったが、大きなウイングオーバーを続けるのにほんの少しの操作で良いことに驚かされた。ストールやダイブに入れる際のブレークのプレッシャーは、本当に軽い。これでより多くのパイロットがこの機体に乗りやすい。

ジムは、ヘリコプターを行う際のブレークのセッティングが気に入っている。ターンが速すぎないので、ネガティブの技をだんだんと覚えていくうえでタイミングがとりやすい。
これは、これからアクロを覚えていこうというあらゆるパイロットにとって、本当に重要なポイントだ。小さな翼に乗るのが早過ぎると、全ての出来事が早過ぎて、ネガティブの動きが覚えられなくなってしまうからだ。これから覚えていこうというときに、動きが遅いということは良いことだ!

結論として、イカロ社は狙った市場にピッタリの機体を生み出したと言える。この機体はフリースタイルや基礎のアクロを目指すパイロットにとって十分にアクティブであり、EN-Bパイロットが間違いを起こしても大丈夫な許容度がある。実際、私がフリースタイルを始めた時にこの機体があったら、とつくづく思ってしまう。 マリン・ロブ

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