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GTO発表以来、世界中からの爆発的バックオーダーに忙しいWoody Valleyからは早くも改定モデルの最新ニュースが届きました。
(日本での納期について)
今年一杯までの生産については、各国からのウエイティングリストで埋まっているという状況ですが、日本では先行発注のおかげで数量を確保しています。
現在の在庫残はMサイズ2枚となりましたが、7月末には大量入荷を予定しています。
(もちろんニューバージョンとなります)
DHVでは、レッグベルト付け忘れの事故多発やパラシュートの取り出しのトラブルを受け、ポッドハーネス特有のリスクについて言及しています。
パラシュート解傘テストと客観的事実のみについて抜粋した翻訳を合わせて記載しておきます。
パイロットの皆様!
この1年の素晴らしい成功を経て、X-Alps GTO の最新版がいよいよ発表間近です。
ハーネス価格は、有料オプションとなる第2パラシュートコンテナ(下記リストの5番を参照ください)を除いて変更ありません。
変更点は少なくありません。目に見えるものもありますし、そうでないものもあります。しかしどれも重要なものです。
(ハーネスのジッパーは共通です。)左右のメインカラビナに直接接続されるY型のタイロープが付属します。
ウッディーバレー社で読んだことのあるいくつかのオンラインフォーラムでの投稿で、 X-Alps GTOに対する積極的なコメントに対しては、全て、心より歓迎いたします。
一方、消極的なコメントもありますが、その多くはこの真に新しい製品に対する知識不足から来ていることにウッディーバレー社は注目しました。
以下に3つの投稿に対するウッディーバレー社の回答を掲げます。(もしこのようなフォーラムでよく投稿される方がいらっしゃいましたら、この回答を投稿していただいてかまいません。)
1)レッグカバーについて、他社のものに比べて素材が薄すぎる(また軽すぎる)という指摘がありますが、従来のネオプレンよりもより薄くしかも強い素材(ライクラ)を使用することは実際、開発当初からのウッディーバレー社の意図であり、価格的な理由からではありません。事実、ウッディーバレー社で使用している素材は、2層のとても薄く織られたライクラからなり、靴や石、草薮や泥、雪、氷と言ったよくこすれてくる相手に対して本当に滑らかです。この2層の間に防水フィルムが挟み込まれ、完全な防水・防風シールドになっています。さらに、この生地はとても伸縮性があり、レッグカバーを伸ばしきった状態でいてもパイロットの脚の筋肉への負担がありません。そして、従来、多くの X-Ratedシリーズで使用されてきた2mm厚の2重ネオプレンよりも40%軽いのです。
2)飛行中に調整の多くを行なうことが出来るということに対して、これを限界だと見るべきではなく、ハーネスを正しくセットアップするうえでの調整の問題に対する最高の解答だと見てください。多くのパイロットが自分にとって最高のハーネスセットアップを見つけようとしてなかなか上手くいかず落胆しています。実際、X-Alps GTO 発売以来のこの最初の1年間にウッディーバレー社がパイロットから得たフィードバックでは、ハーネスのセットアップをわずかに調整したパイロットが少しいるだけで、ほとんどのパイロットは調整しようともしていませんでした。
3)X-Alps GTO は、磨耗したり千切れたりしそうな箇所は全て補強が施され、スピードバーも最初から付いていることも考慮していただいた上で、以下に X-Alps GTOの全サイズの 実重量を掲げます。
X-Alps M: 4,95 Kg
X-Alps L: 5,25 Kg
X-Alps XL: 5,50 Kg
DHV安全技術部で、販売されているポッドハーネスの現行モデルについてチェックしました。
アドバンスのインプレス3が大きな緊急パラシュートを付けていて何度も開傘トラブルに見舞われたことが知られるようになって、DHVでは緊急パラシュートコンテナに着目して調査を進めてきました。 さらに、脚ベルト付け忘れによるパイロットのハーネスからの脱落落下を防止する安全システムについても注意深く調査しました。
ここ数年の間で、パイロットがレッグカバーを付けフロントコックピットを取り付けながらも脚ベルトを付け忘れていたと言う死亡事故やインシデントが数件、発生しています。調査の結果、特に脚カバーやコックピットによって脚ベルトの取り付け部分がパイロットから見えなくなっている場合、全てちゃんと取り付けられているとパイロットが勘違いしやすい、と言うことが判明しました。この問題について、DHVホームページ www.dhv.de の Safety and Technical安全技術ページで、いくつかの記事と事故報告が掲載されています。
DHVでは昨年、トーマス・グラブナーのGフォーストレーナーによるスパイラルダイブのシミュレーションでいくつかの開傘試験を成功させています。(DHV‐Info 169号の42ページおよびDHVのホームページ www.dhv.de. を参照)そこでまた、ミニバスに機材と人員を満載してオーストリーのグレーブミンクにあるシュミレターへ向かったのです。全ての開傘試験は4Gで行ないました。これは毎秒20m/sを超える沈下速度のスパイラルダイブを想定したものです。
試験ハーネス | 認定番号 |
アドバンス インプレス3 | EAPR-GZ-7411/11 |
ウッディーバレー X-alps GTO | EAPR-GZ-7438/11 |
ジングライダー ジェニーライト | EAPR-GZ-7535/12 |
アバスポーツ タントライト | AIRT GZ_020.2011 |
スープエアー スキッパー | EAPR-GZ-7543/12 |
スープエアー デライト | EAPR-GZ-7444/11 |
開傘ハンドルのポジション;良好
サイズ;小
最悪時の到達性:良好
Gフォーストレーナーにおける4Gでの異なる緊急パラシュートを使用しての開傘試験結果
(緊急パラシュート種類) | (体積) | (結果) |
ジングライダー イエティー35 | 4.2L | 容易 |
インデペンデンス エボクロス | 5.2L | 引き出し方向によって容易から困難まで |
ハイアドベンチャー ビーマー2 | 5.5L | 引き出し方向によって容易から困難まで |
インデペンデンス 7UP L | 7.2L | インナーコンテナには大きすぎるため試験せず |
脚ベルトシステム:ゲットアップ
脚ベルト・胸ベルトを取り付けなかった際の補助安全システム:有り
レッグカバーを取り付けるためには2つのリングを小さなカラビナに取り付けなければなりません。これで脚ベルト/胸ベルトがちゃんと取り付けられていなくてもパイロットのハーネスからの脱落を防止できます。しかし、安全システムを使用しないでもコックピットは取り付けることが出来ます。(写真右)
ハンドルテープの長さ: 32cm
プロテクター: フォームプロテクター/座板下で14cm厚
EAPR試験センターによる衝撃吸収度:42.6G
背部は貫通防止材のない4cm厚フォーム
Gフォースストレーナーによるインプレス3の開傘試験
DHVの5人のテスターのうち2人が開傘に重大な困難を感じました。横へ引き出そうとするとコンテナのジッパーは大きな力を使うかハンドルを左右に揺さぶらないと開きませんでした。(写真左)ハンドルを上へ引き出すと(写真中)ジッパーはより容易に開きましたが、ちゃんと開傘させるには続いて横へ引き出さなければなりません。(写真右)インプレス3には座板が無いので、パイロットの大きさや体重が開傘の特性に影響することがあります。
Videos:
Impress 3/Independence Evo Cross 120/Auslösung schwierig (1)
Impress 3/Independence Evo Cross 120/Auslösung schwierig (2)
Impress 3/Independence Evo Cross 120/Auslösung relativ einfach (1)
Impress 3/Independence Evo Cross 120/Auslösung relativ einfach (2)
Impress 3/Gin Gliders Yeti 35/Auslösung einfach
Impress 3/High Adventure Beamer 2: Video not available
開傘ハンドルのポジション;前 腕をほとんど伸ばしきらないと手が届かない
サイズ;大
最悪時の到達性:不良
Gフォーストレーナーにおける4Gでの異なる緊急パラシュートを使用しての開傘試験結果
(緊急パラシュート種類) | (体積) | (結果) |
ジングライダー イエティー35 | 4.2L | 容易 |
インデペンデンス エボクロス | 5.2L | 力が必要で、遅れる |
ハイアドベンチャー ビーマー2 | 5.5L | 容易 |
インデペンデンス 7UP L | 7.2L | 力が必要で、遅れる |
脚ベルトシステム:Tロック
脚ベルト・胸ベルトを取り付けなかった際の補助安全システム:無し
脚ベルト・胸ベルトを取り付けなくてもレッグカバーとコックピットは取り付けることが出来ます。
ハンドルテープの長さ: 24cm
プロテクター: 座板から腰まで14cm厚フォーム
EAPR試験センターによる衝撃吸収度:34.3G
背中の上部に貫通防止板
Videos:
Skypper/Independence Evo Cross 120/leicht verzögert
Skypper/Gin Gliders Yeti 35/einfach
Skypper/High Adventure Beamer 2/einfach
Skypper/Independence 7 Up L/leicht verzögert
開傘ハンドルのポジション;前 腕をほとんど伸ばしきらないと手が届かない
サイズ;大
最悪時の到達性:不良
Gフォーストレーナーにおける4Gでの異なる緊急パラシュートを使用しての開傘試験結果
(緊急パラシュート種類) | (体積) | (結果) |
ジングライダー イエティー35 | 4.2L | 大変容易 |
インデペンデンス エボクロス | 5.2L | 大変容易 |
ハイアドベンチャー ビーマー2 | 5.5L | 大変容易 |
インデペンデンス 7UP L | 7.2L | 大変容易 |
脚ベルトシステム:ゲットアップ
脚ベルト・胸ベルトを取り付けなかった際の補助安全システム:有り
2個のリングを小さなカラビナに取り付けないとレッグカバーは取り付けらないようになっていて、これで脚ベルト・胸ベルトがちゃんと取り付けられずにパイロットが脱落することを防止しています。しかし、(写真右)この安全システムを使わずにレッグカバーを取り付けることも可能です。
赤い脚ベルトはレッグカバーの影の中でもよく見えます。
ハンドルテープの長さ: 30cm
プロテクター: 座板の下で14cm厚で、少しずつフォームが薄くなっていきます
EAPR試験センターによる衝撃吸収度:42.6G
プロテクターの詳細: 貫通防止材は座板の下のみ。背中は12cmのフォームブロックによってのみプロテクションされています。
X-Alps GTO/Gin Yeti 35/einfach
X-Alps GTO/Independence Evo Cross 120/einfach
X-Alps GTO/High Adventure Beamer 2/einfach
X-Alps GTO/Independence 7 Up L/einfach
開傘ハンドルのポジション;前 腕をほとんど伸ばしきらないと手が届かない
サイズ;大
最悪時の到達性:不良
Gフォーストレーナーにおける4Gでの異なる緊急パラシュートを使用しての開傘試験結果
(緊急パラシュート種類) | (体積) | (結果) |
ジングライダー イエティー35 | 4.2L | 大変容易 |
インデペンデンス エボクロス | 5.2L | 大変容易 |
ハイアドベンチャー ビーマー2 | 5.5L | 大変容易 |
インデペンデンス 7UP L | 7.2L | 大変容易 |
脚ベルトシステム:Tロック
脚ベルト・胸ベルトを取り付けなかった際の補助安全システム:無し
レッグカバーもコックピットも安全システムなしに取付けできるのですが、地上ではパイロットの前にゆるく垂れ下がっているというものです。(写真右)これで胸ベルトや脚ベルトをちゃんと見ることが出来、また、パイロットが、全てがしっかりと取り付けられていると勘違いすることも防いでいます。レッグカバーとコックピットは、パイロットが着座姿勢をとって足を伸ばしたときにしっかりと固定されるようになっています。
ハンドルテープの長さ: 37cm
プロテクター: 座板の下と背中の下で16cm厚で、少しずつフォームが薄くなっていきます
EAPR試験センターによる衝撃吸収度:32.6G
貫通防止材は無し。
Tanto light/Gin Gliders Yeti 35/einfach
Tanto light/Independence Evo Cross/einfach
Tanto light/High Adventure Beamer 2/einfach
Tanto light/Independence 7 Up L/einfach
開傘ハンドルのポジション; 良好
サイズ;大
最悪時の到達性:良好
Gフォーストレーナーにおける4Gでの異なる緊急パラシュートを使用しての開傘試験結果
(緊急パラシュート種類) | (体積) | (結果) |
ジングライダー イエティー35 | 4.2L | 大変容易 |
インデペンデンス エボクロス | 5.2L | 大変容易 |
ハイアドベンチャー ビーマー2 | 5.5L | 大変容易 |
インデペンデンス 7UP L | 7.2L | 大変容易 |
脚ベルトシステム:ゲットアップ
脚ベルト・胸ベルトを取り付けなかった際の補助安全システム:有り
2個のリングを小さなカラビナに取り付けないとレッグカバーは取り付けらないようになっていて、これで脚ベルト・胸ベルトがちゃんと取り付けられずにパイロットが脱落することを防止しています。しかし、この安全システムを使わずにレッグカバーを取り付けることも可能です。(写真右)
ハンドルテープの長さ: 45cm
プロテクター: 座板の下で14cm厚で、背中ではフォームが薄くなっています
EAPR試験センターによる衝撃吸収度:37.5G
プロテクター詳細: 背中は8cmのシンプルなフォームプロテクター。座板の下はフォームを重ねた14cm厚。
Genie lite/Gin Glider Yeti 35/einfach
Genie lite/Independence Evo Cross 120 /einfach
Genie lite/High Adventure Beamer 2 /einfach (Video not available)
Genie lite/Independence 7 Up /einfach
開傘ハンドルのポジション; 良好
サイズ;大
最悪時の到達性:良好
Gフォーストレーナーにおける4Gでの異なる緊急パラシュートを使用しての開傘試験結果
(緊急パラシュート種類) | (体積) | (結果) |
ジングライダー イエティー35 | 4.2L | 大変容易 |
インデペンデンス エボクロス | 5.2L | 容易 |
ハイアドベンチャー ビーマー2 | 5.5L | 大変容易 |
インデペンデンス 7UP L | 7.2L | ハーネスコンテナがこの緊急パラシュートには小さ過ぎ |
脚ベルトシステム:Tロック
脚ベルト・胸ベルトを取り付けなかった際の補助安全システム:無し
脚ベルト・胸ベルトを取り付けなくともコックピットもレッグカバーも取り付けられます。
ハンドルテープの長さ: 52cm
プロテクター: 座板の下で14cm厚で、背中ではフォームが薄くなっています。背中に貫通防止材
EAPR試験センターによる衝撃吸収度:48.3G
Delight/Gin Gliders Yeti 35/einfach
Delight/Independence Evo Cross/einfach
Delight/High Adventure Beamer 2/einfach (Video not available)
ポッドハーネスという製品コンセプトには、いくつかのシステム上の安全性の問題があります。最上級の飛行性能を求めているわけではないレクレーショナルパイロットは、スカイスポーツを楽しむ上でこのようなハーネスでのフライトに付随するリスクの増加について、慎重に考慮しなければなりません。
試験した6モデルの中で、アドバンスのインプレス3がDHVの試験に対して最も問題がありました。ただ、装填した全ての緊急パラシュートとの組み合わせで問題が発生したわけではないので、このハーネスに対する総合的な評価を下すのは困難です。我々の見るところでは、このハーネスで緊急パラシュートの開傘を成功させるには、いくつかの要素が絡んできています:緊急パラシュートのサイズ・開傘での引き出し方向・パイロットの体重および着座ポジションです。このハーネスを使用しているパイロットは、説明書に充分注意し、その指示に従うことを忘れないで下さい。アドバンス社でこのハーネスのインナーコンテナに「使用する緊急パラシュートの体積がこのハーネスの許容限度内だったとしても、フライトする前に数種の異なる開傘試験をパイロットによって行なわなければならない」と印刷しています。
以下の3モデルはDHVの試験に対して、特に好成績を収め、開傘トラブルもありませんでした。ウッディーバレー X-Alps GTO・ジングライダー ジェニーライト・アバスポーツ タントライト。
これらは、開傘ハンドルを引くだけで、異なるサイズの全ての緊急パラシュートにおいて完全に開傘させています。スープエアーのスキッパーおよびデライトは、少し問題がありました。スキッパーは一部の緊急パラシュートとの組み合わせで開傘ハンドルの引き出しに少し力が必要であり、デライトはハンドルテープが長く、腕が伸びきってやっとコンテナから出てくると言う状態でした。何社かのものは理想的なハンドルテープの長さになっていました。これは開傘時にインナーコンテナを力強く投げるために重要なことです。ハンドルテープは短ければ短いほど良いのです。ジェニーライトのハンドルテープの45cmとデライトの52cmは最も長い部類でした。そのほかのハーネスでは、全て40cm以下で中には30cm以下のもありました。
例え潰れからパイロットが逆サイドへ激しく振られているときでも、開傘ハンドルには容易に手が届かなければなりません。全てのハーネスがこの要件を満たしていたわけではありません。中には腕をいっぱいに伸ばしてやっとハンドルに手が届く、さらには全く届かない、と言ったケースもありました。新しいハーネスを選ぶ際には、自分の腕の長さが充分かどうかチェックしてみることが重要です。
まず、試験した全てのハーネスにおいて、現行の認定基準で求められているパイロット脱落防止のための脚ベルト安全システムが装備されています。Tロックバックル付きのタイプでは、チェストベルトから座板へさらにベルトを1本渡し、いったん胸ベルトが取り付けられたら、パイロットの体が自動的に保持されるようになっています。ゲットアップ方式を用いるタイプでは、バックルを取り付けると自動的に座板と胸ベルトがつながれた形になるようになっています。現在、全てのハーネスでこれらの必要とされる安全システムが装備されているにもかかわらず、ハーネスの取り付けミスでポッドハーネスからパイロットが脱落した死亡事故が、ヨーロッパでこの2年間に少なくとも8件、起こっています。レッグカバーやフロントコックピットは取り付けられていて、これらの陰になった肝心の脚ベルトや胸ベルトは開いたままだったのです。ドイツ国内での2件の死亡事故の後、DHVは各メーカーおよびPMAへ連絡し、脚ベルトや胸ベルトを正しく取り付けないとレッグカバーが取り付けられなくなるような補助安全システムを求めました。
今回の試験で用いたハーネスのうち3つは、このようなシステムを装備しており、3つともレッグカバーの端に2個のリングがあってそれを第3の小さなカラビナで取り付けなければならないと言うものでした。アドバンス インプレス3・ウッディーバレー X-Alps GTO・ジン ジェニーライトがこの3つです。この取り付けシステムは2重の機能になっています。レッグカバーを取り付けるためには、この第3の小さなカラビナを保持し、脚ベルトにつながっている第3のベルトを使わなければなりません。これで脚ベルトの付け忘れの可能性自体を減らせます。そしてこの取り付け作業を快適に行なうためには、先に脚ベルトと胸ベルトをそれぞれ取り付けていなければなりません。見た目にはこの細いベルトは頼りなさそうですが、ハーネスのパイロット最大重量以上の荷重に耐えることができるようになっています。ジングライダーとウッディーバレーでは、さらに快適なTロックシステムへの変更を近々予定しています。ただ、残念なことですが、ジンとアドバンスではこの取り付けシステムをもってしても、パイロットのハーネス脱落に関連する全ての事故を防ぐことが出来無かったことに注意しなければなりません。
2012年2月のスイスでの死亡事故ではインプレス3からパイロットが脱落、5月にはドイツ人パイロットが何とか脱落せずにグライダーを操作し続けて無傷で斜面に着陸しました。どちらのケースでもパイロットは脚ベルト・胸ベルトを付け忘れ、この追加の安全システムの付いたレッグカバーとコックピットも付け忘れていました。インプレス3の取り付けシステムはハーネスの片側にだけ付いていて、レッグカバーとコックピットはもう片側には最初から付いているので、パイロットが取付けを全て行なったと勘違いする可能性があるのです。
ウッディーバレー X-Alps GTOの取り付けシステムは、DHVのテスターの間で最も良い印象をもたれました。フロントコックピットの取付けでは安全システムのベルトを使う必要があり、これがパイロットの脱落防止に役立っています。また、ウッディーバレーは脚ベルトを赤色にしていますが、これはコックピットを取り付けると、パイロットは脚ベルトが正しく取り付けられているかどうかチェックするのが困難あるいは不可能になるという事故調査が明らかになるにつれて、重要なポイントになりました。テイクオフにいる他のパイロットが他の黒いベルトとは違う赤いベルトが見えていることに気づけば、脚ベルトの取り付け忘れを発見することができます。X-Alps GTOで使われている赤いベルトは、脚カバーの影の中になっていても容易に気づくことが出来るので、周囲のパイロットに何かちゃんと取り付けられていないものがある、と言う警告を発してくれることが出来るのです。
アバスポーツではハーネスからのパイロット脱落防止に異なる方式を用いています。レッグカバーもコックピットも安全システムなしに取付けできるのですが、地上ではパイロットの前にゆるく垂れ下がっているというものです。これで胸ベルトや脚ベルトをちゃんと見ることが出来、また、パイロットが、全てがしっかりと取り付けられていると勘違いすることも防いでいます。レッグカバーとコックピットは、パイロットが着座姿勢をとって足を伸ばしたときにしっかりと固定されるようになっています。