SYRIDE社 「 SYS`Nav 」 レポート

フランスのシライド社が昨年発表したシスナビシリーズがヨーロッパで高い評価を得ていて、最近もイギリスのフライバブル社のレビュー記事で、その高い機能性と軽くシンプルな特徴が賞賛されているので、紹介いたします。

 

Syride SYS’Nav Review
シライド社 シスナビ　(by グレッグ・ハマートン)

Flybubble PARAGLIDING (英国)　のレビュー記事より (抄訳)

シスナビの紹介記事はスカイウイング誌(英)でアンドリュー・クレイグがすでに行っていたが、小さくてかなり安いバリオということで、つい見逃してしまっていた。しかし実際に使ってみると、その評価は高くなるばかりで、小型化とシンプルさを追求しながらパワフルなナビゲーション機能を誇り、中級レンジのバリオのラインナップの最高峰であり、ハイエンドの上級バリオのいくつかをさえ脅かすものである。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

シスナビは極めて軽量でありながら、よくあるフライト活動中の厳しい取扱いにも充分耐えられる頑丈さを感じさせる。そのおかげで、ライザーの下の方へ取り付けるのに理想的で、この取り付けポジションは私が今まで使った事のあるバリオの中で一番見やすいもので、しかも画面が反射光で見づらくなる心配も減った。フライトデッキに取り付ける場合に比べて、太陽がよほど空の低いところにきていない限りは、まず画面反射に悩まされる事は無い。シスナビの画面自体、ほかのバリオと並べて見ても、太陽光の下で読み取りやすく、暗い環境でも（？）バックライトの点灯が可能だ。

ライザーに取り付けられていることで、ボタンもとても見やすくて押しやすく、ブレークを使いながら旋回している時でも、画面の切り替えがしやすく、また、わかりやすい。とにかく良く考えられた製品である事にすぐ気づくだろう。テイクオフに立っていて、バリオ音を止めたいときも、真ん中の赤いボタンを押すだけ（ミュート）だ。この一例でもわかるとおり、このバリオは良く出来ていて、パイロットの必要事項をよく研究しており、シンプルさを追求した上で、本当に機能性が高い！

 

 

フライトにおいて

シスナビは、面倒くさいところがなくて本当に気が楽だ。このごろは多くのバリオが、あまりに多過ぎる情報機能を持っていて、一つ一つの情報項目は有用そうではあるのだが、役立ちそうだと言うだけでバリオの画面にいろいろなものがあふれかえってしまう結果になりやすい。これはパイロットへの精神的負担を増し、例えば、強い横風の尾根の上で太陽の逆光を受けながら3機のハンググライダーとサーマリング、などという状況で必要な情報を読み取るのを一層困難にしてしまう。

シスナビの限られた画面スペースは、私に情報の優先順位をとても明確に考えさせることとなり、必要なものをシンプルにまとめることができた：進行方位と移動速度；現在高度と空域制限高度までの残りの高度差；平均上昇率；風速と風向。これらが私にとって最も必要となるものであり、シスナビの画面には見事にこれらが見やすくおさまってくれる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

第2画面では最寄の管制空域の情報が表示でき、グライド中にもチェックできる。（管制圏内で試すと侵犯の警告が出る。）地図画面にして飛行タスクと地形の表示もでき、その4段階のズーム機能はほかのバリオでよくある無段階のズームと比べても完璧だ。管制空域近くのフライトでもナビゲーションが役立ち、山並みへも上手くたどりつけた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

高い山の無い英国でのフライトでは、現在高度より高い地形をグレー表示するシスナビの表示機能に調整機能が欲しくなるところだが、低くなだらかな丘陵が画面を埋め尽くしてもかえってわずらわしいだろうと思うと、結局、現在の機能設定がよく考えられている、ということがわかる。シライド社は、パイロットにとって本当に必要だと思った変更は必ずやってくれる、と言う点で信頼できる。

 

 

カスタム設定

初期設定の機能で充分ではあるが、このバリオの設定をいろいろ変えることもできる。
（バリオ設定や画面設定のカスタム設定については、取扱説明書やほかの製品紹介記事にゆずりますが、やはりシンプルで使いやすく実用的であると、その評価の高さが続きます。）

バリオはとても正確で敏感で、上級モデルのバリオに匹敵する信頼性の高さを誇り、もちろんバリオ表示を平均値表示(筆者はタイトな1周分の15秒に設定)にしたり、バリオ音を穏やかにしたりもでき、サーマリングにとても役立つ。フライトログダウンロードなどでPC接続すると同時にすぐに充電されるので、電源寿命も気にならない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

テクニカルサポート

シライド社のテクニカルサポートは特筆もの！改良点が見つかった時の対応の早さとスマートさが素晴らしい。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

シスナビに対抗するもの

広い地域にわたって多くの管制空域が存在する中でのクロスカントリーと言った大画面の欲しくなる状況であれば、高価で大電力消費の高級機種を使えばよいだろう。しかしそのような場合でも、シスナビは便利で頼れるバックアップである。また、ここ一番の使用以外ではシスナビだけでフライトして大電力消費機種の電源を休ませておくと言う方法もある。シスナビとともに飛ぶと、そのシンプルさが楽しくなってくる。そしてそれは、飛ぶことのもっとも大切なところへ立ち戻らせてくれる事でもある！

 

結論

シスナビは、幅広い層のパイロットたちを満足させてくれるだろう。それはバリオの鳴り方、シンプルな表示、見やすい風表示などで初級パイロットにも適しているし、もっと上達してくれば、多くの上級機能を使いこなせていけるだろう。ライザーへの取り付けというのも実用性が高くて良い。フライトデッキも不要になる。ハイク&フライなど、シンプルにフライトを楽しむにも最高だ。そして最適ルート表示やファイナルグライド指示も出て多くの競技パイロットの間でも見逃せない存在となっている。私見だが、中級モデル市場では、その圧倒的な軽量と買いやすい価格もあって、まさに敵なしである。

 

 

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