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ハングライダーのセールはデュポンの商標として知られる主に2種セール素材からなり、ポリエステル繊維からなるダクロンとポリエステルフィルムや補強繊維等のコンポジットマイラーがあります。ウイルスウイング社では永年にわたりメーカーとのコラボレーションによって、セールクロスの世界的トップ製造会社のDimension-Polyantから特注の素材が供給されています。
Willswing社とDimension-Polyant社によるセールクロスについての研究結果を見る;https://www.opa.co.jp/wiilswing-sailcloth-research/
これらは皆、一般に「マイラー™」セールクロスと呼ばれているものです。クロス構造によって「ほぼ透明」かホワイトのどちらかとなります。ポリエステルフィルムを使ったラミネートセール素材は、長年にわたってハンググライダーのセールで使用されてきました。この生地を使い始めたそもそもの動機は、伸びの少ない割に軽量を保てる素材を用いることで性能を向上させようという試みにありました。高性能ハンググライダーにおいてはスパン方向のねじれを少なくすることが性能のカギとなる要素であり、そのねじれは一般的にセールの張りによって抑えられるものだからです。一方でポリエステルフィルムの生地の弱点は、荷重がかかっても柔軟性があまり出ないので一般的に「かたい」鈍重なコントロール性になってしまうことと、ポリエステル ラミネートの生地は織り込まれた構造のダクロンセールに比べると耐久性や寿命の実績がそれほどでもない、ということでした。
一般的にはまだ最上級の織り込み構造のダクロンセールの寿命が勝っているとはいえ、最新のラミネート構造の生地はUV耐紫外線やテクノーラ補強等で大幅に向上してきています。
かつてU2,T2,T2Cのリーディングエッジに標準となっていたマイラー素材。
260g/㎡
いわゆるマイラーセールは、マイラー樹脂のフィルム層に補強の糸を縦横、さらには斜めにも配したものです。ウイルスウイング社では2011年のセールラインナップから全てのマイラーセールを高強度・軽量化しました。
さらにウイルスウイング社では、ダクロンセールの半分程度の紫外線耐久性しかなかったマイラーセールのマイラーフィルムを、全て、耐紫外線機能をもった特別仕様(UVシリーズ)のものとしたことで、マイラーセールとしては耐久性を大きく向上させました。
マイラーセールは剛性が高く、上面セールに使用すると高速性能の向上が期待されます。
現在のウイルスウイングでは、唯一テクノーラでない耐紫外線マイラー素材。光沢のある白色で、白いUV2酸化チタン層の下に薄く見えるクロスプライ(斜めの補強)のみ黒色。
U2とT2のPane1リーディングエッジへのオプションのみ 。260g/㎡
現在では同価格でより優れたオプションのUVPXテクノーラを強く薦めています。この場合テクノーラの優位性は軽量です。
UVPX(B&W)はUVPTにとって代わる素材で、新スタイルのポリエステル・スクリム(縦横の補強)とテクノーラのクロスプライ(斜めの補強)から成ります。UVPX10クリヤーは、UVODL06とほとんど同じ見た目(透明にテクノーラの黒い補強線)のものです。 UVPXWホワイトは、UVPX10とは同じ構造ですが見た目は、以前のUVPTホワイトと同じ光沢のあり白色となります。 どちらもT2Cの上面に標準装備となっている素材です。
ウイルスウイング機の現行の基本的なマイラーセールであり、T2CとT2Sの上面/後縁パネルおよび前縁パネルでは無料となります。
重量180g/㎡
左図UVPXBクリヤー(左側は黄色の素材の上からの見た目)
UVPXWホワイトは、左図(UVPTホワイト)と同じ白色の見た目となります。
UVPXB05は、特に高い強度を必要としないレクレーショナル機の上面や後縁、そして下面のために専用に採用されました。UVPXB10と同じ構造ですが、補強の黒線が細くなり、より透明感があります。また、さらに軽量で薄く、より柔軟性があります。(右画像:左がUVPXB10,右が05)
ODL06は、通常マイラーの3倍の強度をもつテクノーラ樹脂の補強糸によって軽量化した、T2C向けの高性能セールです。2層の透明なマイラーフィルムの間に黒いテクノーラ繊維の縦・横・斜めの補強が入った外観です。
以前まで長らく使用されていた古典的なPX10Tマイラーセールの重量が230g/㎡であるのに対し、160g/㎡と軽量で、軽量化・高剛性化によってロールレスポンス、高速性能、安定性、VG使用時の滑空性能全般がさらに向上。
ウイルスウイング社では2012年より、ODL06の透明マイラーフィルム層を極めて高価なUVマイラーに換えて耐紫外線耐久性を大きく高めたUVODL06クロスに換えて、高い実績を誇ります。重量165g/㎡
UVODL06と同じ構造と見た目でUV透明マイラーフィルム層が薄くなり、135g/㎡まで軽量化されたことで、さらにハンドリングが軽くなりました。
当初T2Cの上面セール用に特別注文されたセール。T2Cの上面セールではカーボン繊維の補強テープを翼中心から放射状に配して剛性と強度を確保し、さらに高速域での厳しい競技飛行環境に向けては、オプションで外翼後縁にスピードバテンの設置も可能です。結果として軽量、軽いハンドリング、性能の全てで向上が見られます。重量135g/㎡
ウイルスウイング社では通常のダクロンセールにも、世界の先端を行くセールメーカーであるディメンション‐ポリヤント社の高品質なV170系列のダクロン樹脂クロス(重量 約170g/㎡)を用いています。
ダクロンセールは、細いダクロン樹脂繊維の糸を強い力で緻密に織り込んで高温高圧の樹脂コーティングを施したクロスです。柔軟でコントロール性に優れ、長時間の使用に耐える高い耐久性があります。
ノーマルセールとも呼ばれるV170系列の軽量ダクロンセールは白色を含めて14色を用意し、全ての機種の下面セールに用いられているほか、ほとんどの機種の上面中央セールにも標準的に用いられています。
さらに機種によっては、前縁や後縁の特に力がかかるパネル用に、通常のクロスにさらに太い糸のリップストップ(格子状の補強)を織り込んだ強化ダクロンセールも使用しています。色は全てホワイトのみで、セール重量は少し増加します。
重量208g/㎡ U2の後縁に標準使用
ファルコン3タンデムの後縁に標準使用。重量242g/㎡
コントロール性については、従来のマイラー素材間で大きな違いはありませんでした。また従来のマイラー素材と205MTやハイドラネットといった強化ダクロン素材との比較においてすらそれほど大きな違いはありませんでした。ですから一般的にはダクロンクロスの方がマイラークロスよりも良好なコントロール性を示す場合が多かったのです。
一方でウイルスウイングにおけるマイラー素材の進化の中では、2015年より使用され始めた軽量なUVテクノーラ素材は種類を増しながら適切に採用され始めました。結果として、より軽く、よりコントロール性の良さを産む素材として、レクレーショナル機にも採用されるまでに至りました。
従来型のマイラーフィルムはダクロンクロスに比べて耐久性で劣りました。しかし特別な耐紫外線マイラーフィルムは、紫外線にさらされる地域において大幅な耐久性の向上を見せ、またダクロンクロスよりも高い伸びへの耐久性を示しています。 レース用T2C(UVODL06とUVODL04を除くすべてのセールオプションがパッケージされているため価格的な考慮はありません)の標準は、前縁パネル1にUVPX、上面パネル3・パネル4にUVPXBかUVODL06です。UVあるいはUVMが名称に入るセールには全て、紫外線に対して高い耐久性を発揮する特別な耐紫外線マイラーフィルムが使用されています。またUVホワイトセールでは2酸化チタンをセール染料に使用していて、紫外線の透過を抑えて下側のクロスをさらに保護しています。またマイラーフィルムの表側が紫外線に最も強くさらされるのですから、マイラーセールの寿命を延ばすうえで最も重要なのは、この特別な耐紫外線マイラーフィルムをこの表側の層に使用することなのです。この特別なフィルムは、UVあるいはUVMが名称に入る、ウイルスウイング社の特定のマイラーセールでしか得られません。
競技パイロットやVGをたくさん引いて飛ぶ時間の多いパイロットにとっては、伸びの少ない素材(UVODL06やカーボンテープを入れたUVODL04)によってネジリ下げを大きく抑えて高い性能を得ることができます。これらの素材は柔軟性が低いためにVGを引いた状態でのネジリ下げがダクロンクロスよりも小さくなります。VGをあまり引いていない状態では、セール素材の選択による性能の違いはそれほどありません。